UML/SysMLモデリングツールの選び方:2

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UML/SysMLモデリングツールの使い方を確認する

まず、モデリングツールを自分たちはどのように使うのかを確認してください。例えば、以下のスライドは、弊社の「Enterprise Architect 入門セミナー」(製品購入後に無料で参加可能)で最初に説明している内容です。(2021年7月時点)

この内容の1番目の使い方の説明にあるように、やりたいことによっては、モデリングツールではなくVisioやPlantUMLなどの作図ツールでも実現可能な場合があります。また、やりたいことによっては、モデリングツール(だけ)では解決できず、設計プロセス全体の改善が必要な場合もあるでしょう。

UML/SysMLモデリングツールの特徴を見極める

ツールを選択するときには、前述の「自分たちは何をしたいのか?」に加えて「それぞれのツールはどのような特徴があるのか?」という2点を意識しなければなりません。こうした意識がなく、「便利そうだから」「安いから」「有名な○○さん(あるいは○○社)が使っているから・推薦しているから」のような理由で安易にツールを決めてしまうことは避けなければなりません。

世の中には、さまざまなUML/SysMLモデリングツールがあり、その価格も機能も大きく異なります。一般的には、価格が高いツールであるほど、総合的に見て機能が豊富で利用できる範囲も広い傾向があります。しかし、例えば3万円のツールと100万円のツールを比較して、100万円のツールが33倍優れているということにはなりません。
(それ以前に、ツールの能力を数値化することはできませんので、「33倍」かどうか検証することは不可能ですが...)

この点は、自動車の最高時速と似ているかもしれません。例えば、100万円の軽自動車は最高時速が100km/h・3000万円のスポーツカーは最高時速が300km/hとすると、確かにスポーツカーの方が高性能で、良いように思います。しかし、以下のような点を考慮する必要があります。

  • そもそも300km/hで走る必要があるのか?
    (ツールならば: 高いツールに付属する機能を本当に必要としているのか?)
  • 300km/hで走ることができる道があるのか?
    (ツールならば: 例えば完全なソースコード生成機能が搭載されているとして、それを適用可能な対象があるのか?)
  • 300km/hで事故なく運転できる技術を持っているのか?
    (ツールならば: 高いツールを使いこなせるだけの、知識・技術がエンジニアにあるのか?)
  • 「自分はスポーツカーに乗っているぞ」と言いたいだけではないのか?
    (ツールならば:「うちも高価格の○○ツールを使ってますよ」と、高いツールを持つことが目的になっていないか?)

自動車の最高時速の違いのように、モデリングツールにもさまざまな違いがあります。それぞれのツールの特徴について、自分たちにとって必要・有用かどうかという観点で特徴を見極めるのは良い方法です。

ツールの価格に対する考え方

先にお伝えしたように、ツールの価格はさまざまであり、妥当性の判断は容易ではありません。判断の際には、以下のような考え方もあります。

一人当たりのツールが仮に3万円とします。一昔前のツールから比べると非常に安価です。しかし、「ツールを利用する設計開発者のコストは安価ではない」ことに注意する必要があります。この点は通常考慮されない点ですが、ソフトウェアの設計開発全体という観点で考えれば、非常に重要です。

例として、3万円のモデリングツールを考えます。多くの場合には、設計開発者のコスト(本人への給料だけでなく、すべてのコストを含む)は時給に換算して数千円になることでしょう。すると、わずか数時間の効率が発生すれば、高いツールでも元が取れるということになります。仮に、3万円が年間で6時間分のコストに相当すると仮定すると、1日に、わずか1.5分の効率化が図れれば妥当な費用ということになります。
(1.5分x20日x12ヶ月=360分/年=6時間/年)

よく聞く話として、コスト削減ということで手元にあるVisioやExcel,PowerPointなどでUMLやSysMLのモデルを作成することがあります。しかし、先ほどの計算の結果、1日に1.5分の効率化が実現できれば、専用のUML/SysMLモデリングツールを購入したほうが効率的ということになります。

このように、ツールの価格を1日あたりで考えることで、妥当性の判断のための1つの材料となります。

ここで再度ポイントになるのが、「自分たちは何をしたいのか?」という点と「それぞれのツールはどのような特徴があるのか?」という2点です。このうち、「自分たちは何をしたいのか?」という点はそれぞれの人によって異なりますので、最後に「それぞれのツールはどのような特徴があるのか?」を確認する際の3つの基準について説明します。

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