BPMNツール Enterprise Architect

BPMNとは?

BPMN (Business Process Model and Notation)とは、OMG (Object Management Group)が管理する、ビジネスのプロセスを表現する記法です。ビジネスのプロセスと言っても、多くの場合には企業での業務の流れや、業務と書類・帳票などとの関係を表現するためにBPMNを利用します。UMLなどの汎用的な記法と異なり、業務という観点に特化することで、業務に関係するさまざまな関係者にとってわかりやすい記法となっています。現在の最新版はバージョン2.0です。

BPMNのバージョン1.1までは、1つの種類の図(ダイアグラム)のみが存在しました。BPMNのバージョン2.0では、いわゆる業務の流れを書くための図だけでなく、コレオグラフィ図・コラボレーション図・カンバセーション図の3つの図が追加され、利用範囲が広がりました。従来からの対象であった業務の流れを記述する場合でも要素や表現が増え、より詳細に業務を表現することができるようになりました。ただし、多くの場合には、バージョン1.1にも存在したビジネスプロセス図のみを利用することが多く、それ以外の3つの図はあまり利用されていません。

なお、BPMNのバージョン1.1までは、「Business Process Modeling Notation」でしたが、BPMNバージョン2.0で「Business Process Model and Notation」に変わりました。略称はどちらもBPMNです。

BPMNについての概要や基本的な書き方を知るための情報源として、書籍「業務改革、見える化のための業務フローの描き方」をお勧めします。残念ながら弊社ツールEnterprise Architectを利用した書籍ではありませんが、それでも紹介せざるを得ない良書です。

BPMNを利用するメリット

業務の流れを表現する記法として昔から広く利用されているのは、フローチャートです。あるいは、UMLのアクティビティ図を利用する場合もあります。しかし、これらの記法は、ソフトウェアの動作を表現することを基本的な目的としたものであり、業務に特化したものではありません。一方で、BPMNは業務という観点で必要な要素を定義し、それぞれの要素の外見からその意味・位置づけを把握しやすい形になっています。

世界的な共通記法ということもあり、複数の異なる組織間でビジネスを定義・把握するために利用する記法としても有用です。企業・組織によって業務の流れを表現する方法が異なることはよくありますが、BPMNを利用することで、そうした組織間の表記方法の違いを意識する必要がなくなります。

BPMNで記述したモデルからはBPEL (Business Process Execution Language)を生成し、記述した内容を実行可能とする仕様もありますが、広く使われているとは言えない状況です。BPELを生成するためには、実行させるために必要となる情報の記述が必要となることが理由です。多くの場合には、実行するためのコンピュータ用の記述ではなく、利害関係者が見てビジネスプロセスを理解・合意するためにBPMNを記述します。

BPMNモデリングツール (BPMN Modeling Tool)を利用しなくても、汎用的な作図ツール(ドローツール・ダイアグラミングツール)を利用することでもBPMNは利用できます。しかし、BPMNモデリングツールを利用することで効率的な作図が可能になるだけでなく、文法に合致している図を書く支援機能や、ドキュメント生成など作成した図の内容を活用するためのさまざまな機能を利用できるようになります。また、作成した複数の図間の連携・編集の反映・トレーサビリティの確保などの機能も利用できるようになります。

Enterprise Architectを利用したBPMNのモデリング

Enterprise Architectでは、BPMN 1.1/2.0の図を書くことができるBPMNツール (BPMNモデリングツール)です。BPMNを利用してビジネスプロセスの定義ができるだけでなく、UMLなど他の記法を利用した設計情報を同じプロジェクト内にまとめて、設計とのトレーサビリティ(関係性)を維持して設計開発を進めることもできるツールです。

Enterprise Architect独自の「クイックリンク」機能を利用することで、流れに沿ってBPMNモデルを作成できます。モデリングツールとしての主な機能につきましては、Enterprise Architectの機能概要のページをご覧ください。

Enterprise Architect 日本語版では、BPMN独自のさまざまな支援機能もあります。下記のドキュメントをご覧ください。これらの機能を利用する場合には、Enterprise Architect 日本語版のインストール時の「追加アドインの選択」画面で「BPMN 2.0」を選択してインストールしてください。

BPMNのモデリングの概要(動画デモ)

ツールを利用したBPMNのモデリングの概要と、Enterprise ArchitectでBPMNを利用する際の価値の1つであるトレーサビリティについて動画で説明しています。(9分22秒・音声あり)

ドキュメント

BPMNツールを利用したモデリングの概要を紹介したドキュメントも利用できます。

内容更新日-
BPMN2.0の作図 チュートリアル
Enterprise ArchitectでBPMN2.0を利用したモデリングの方法の説明です。
2022/02/16 ダウンロード

利用環境

BPMNを利用したモデリングを実行するために必要な環境は以下の通りです。

  • Enterprise Architect (BPMNモデリングにつきましては、エディションの制限はありません)
  • .NETフレームワーク 4.7.2以降
  • BPEL生成機能を利用する場合には、ユニファイド版あるいはアルティメット版が必要です。

評価について

BPMNツール(BPMNモデリングツール)の評価につきましては、Enterprise Architect 日本語評価版をご利用下さい。評価版につきましてはこちらのページをご覧下さい