ツールコンサルティング

有償サポートサービスの1つであるツールコンサルティングでは、標準サポートの範囲外の内容も含めて、ツールを効果的に活用するためのさまざまな支援を行います。このページでは、ツールコンサルティングが必要な背景とその支援内容を紹介します。

ツールコンサルティングの必要性

ツールコンサルティングが必要な理由・状況として、以下の4点が挙げられます。

1.ツールの利用者はツールの機能を正確に把握できていないことが多い

ツールコンサルティングは、ツールが持つ機能を理解し、どのように使うかの判断を支援します。

例えば、Enterprise Architectのバージョン管理機能はバージョンを管理するためだけの機能ではなく、また設計情報のバージョン(履歴)を管理することが目的の場合でもバージョン管理機能を使わない方法もあります。「バージョン管理」という名前だけで機能を判断してしまうと、必要がないのに機能を有効にしてしまったり、最適ではない方法で利用したりすることになる場合があります。

ツールコンサルティングでは、目的や希望を伺いながら、どの機能をどう使うと良いかを提案します。

2.他のツールや過去に利用したことがある同種のツールに影響されていることが多い

同じようなツール(例:UMLツール)としても、背景・前提・目的・対象が同じとは限りません。しかし、多くの方はこうした点をあまり意識せず、同種のツールと考えてしまう傾向があります。また、それぞれのツールが搭載する機能や操作方法も、これらの背景や前提などが大きく影響していますので、ツールごとに異なります。しかし、こうした点を考慮せず、自分の利用経験のあるツールの機能・操作との違いに戸惑う方がいます。

例えば、作図ツールもモデリングツールも、どちらでもUMLやBPMN等の図を作成することができます。作図ツールは図の作成に特化していますので、モデリングツールに比べれば機能も少なく操作もシンプルであることが多いです。しかし、作図ツールが優れているのかというとそうではなく、例えば複数の図の同期やトレーサビリティの把握はできません。

ツールベンダーの立場で見れば、「同種のツール」であったとしても、多くの異なる点があることがわかります。ツールコンサルティングでは、こうした違いをコンサルティングを通してお知らせします。

3.ツールの観点からの効果・効率を徹底的に追求できる

ある程度の規模の設計開発になると、プロセス全体を把握し支援するコンサルティングを利用している例が多いです。しかし、プロセス全体を支援するコンサルタントは、あくまでもツールは全体のうちの1つとして見るため、ツールの効果を最大限に発揮できるプロセスになっているとは限りません。

例えば、プロセス全体としては必要な情報がツールに保持されているとしても、「情報の管理が手作業」「同じ情報が別の場所に重複して保存され手作業で同期」「不要な情報が図に表示され煩雑になっている」状況はよくあります。

ツールコンサルティングでは、プロセス全体をより良いものにするために、ツールという観点での使い方・機能の選択・情報の保持方法などを提案します。

4.ツールの適正な利用には知識と経験が必要

私たちスパークスシステムズ ジャパンは、Enterprise Architectを始めとする弊社製品のプロフェッショナルです。ツールに関する知識・経験を豊富に持っています。これらと同等の知識・経験を利用者が得ることは容易ではありません。

例えば、ツールに合わせてプロセスを変えるのか、プロセスに合わせられるようにアドインを作るのかという判断が必要な状況があるとします。この場合に、どちらの選択肢がより適切かを判断するためには、両者の方法に関する知識と経験が必要です。安易にアドインを作る選択肢を選び、実装してみたら実現できないこと途中でわかるような場合や、実現できたとしても現場の要求とは異なる場合など、知識・経験不足が時間と費用を無駄にする例もあります。

ツールコンサルティングでは、こうした判断の場合に有用な情報を提供します。

内容

標準サポートの範囲に含まれない内容も含めてのサポートを行います。サポート対応の例として、以下のような項目があります。

  • 質疑応答
    (標準サポートの対応内容で「標準サポートの対象外・範囲外の内容」として明示している範囲も含みます。)
  • ツールの機能についての説明・設定支援・環境構築支援
  • 実際に運用されている環境・モデルに応じた個別支援
  • 弊社で取り扱いのない、海外サードパーティ製などのEnterprise Architect用のアドインについての支援
  • Webサイトやヘルプなどで「動作保証外」としている内容について、可能な範囲での支援
  • 弊社パートナーと連携し、UML・SysMLなどの文法や設計開発プロセスを含めた支援
    (例: UML・SysMLなどの文法の説明を弊社パートナーのサービスで実施し、その後Enterprise Architectを利用した独自内容の演習を弊社で実施)
  • ヘルプや既存ドキュメントに含まれる内容も含めて、お客様のご要望に応じたドキュメントや具体的な手順書の作成
  • アドインの作成支援・デバッグ支援・サンプルコードの作成 (下記「費用」の注意事項をご覧ください)

原則として、お客様のオフィスあるいは指定した場所に弊社スタッフがお伺いしての対面対応と、持ち帰りでの作業対応/メールでの対応のセットになります。対面対応はオンラインでの実施も可能です。

費用

  • 標準パターンでの実施では、1ヶ月に2回訪問・各2時間の対面対応と各6時間分の持ち帰り作業(合計で1ヶ月あたり4時間の対面対応と12時間の作業)で44万円(消費税込)になります。標準パターンの時間を超えるような実作業を含むご依頼の場合には、条件・内容に応じて価格を提示いたします。
  • 弊社規定の交通費(1ヶ月あたり1万円以上の費用が発生する場合)・宿泊費(当日中の移動が不可能な場合)・お客様固有の条件/環境を構築するための費用等が発生する場合、別途実費を請求いたします。
  • 弊社から対面対応の実施場所までの移動時間が1時間を超える場合、片道分の移動時間については拘束時間として作業時間から控除いたします。例えば、標準パターン(月2回訪問)で移動時間が片道2時間の場合には、2時間x2回=4時間を作業時間から控除し、実際の作業時間は8時間となります。
  • 原則として1ヶ月単位での実施となります。1ヶ月あたりの最低費用は、上記の標準パターンの44万円となります。
  • アドインの作成支援・デバッグ支援・サンプルコードの作成に関する内容は単価が異なります。

コンサルティングを円滑に実施するために、主担当者様との対面での面会が過去にない場合には、初回の打ち合わせは極力お客様先に訪問し、直接面会しての打ち合わせをお願いしています。この場合に限り、交通費・宿泊費・移動時間に対する作業時間控除は発生しません。

その他・注意事項

  • 実施中は、標準サポートの範囲の内容につきましても、標準サポートのお客様よりも優先対応となります。
  • 持ち帰り作業の時間は月単位となり、原則として翌月に繰り越すことはできません。追加費用により、作業時間の翌月以降への繰り越しが可能です。
  • メールでのご質問・ご対応の場合など、持ち帰り作業は15分単位での計上となります。メールでのご質問への対応など、作業1件あたりの時間が15分未満の場合には15分の作業とみなします。
  • 弊社製品の機能と競合するアドイン作成への支援など、このツールコンサルティングの実施をお受けできない場合もあります。ご不明点はサポート窓口にお問い合わせください

実施の流れ

  1. まずはサポート窓口に概要・ご要望などをお知らせください。必要に応じて、オンラインでのミーティングも可能です。
  2. ツールコンサルティングがお役に立てそうである場合には、ご要望に応じた支援内容(支援時間)を検討し、見積もりを提示します。
  3. 問題ない場合には、発注書の送付をお願いします。実施が確定となり、事前に同意した内容で支援を実施します。
  4. 基本的には、1ヶ月単位で以下の流れで実施します。
    1. 対面での打ち合わせによる状況把握と作業内容の調整
    2. 持ち帰り作業
    3. 対面での打ち合わせによる作業報告と次回までの作業内容の調整
    4. 持ち帰り作業および作業報告書等の作成
  5. 原則として、月単位で報告書等の成果物と請求書を送付し、翌月末のお支払いとなります。
    (ツールコンサルティングの費用は、原則として後払いとなります。)

実施例

過去に多くあった実施例として、以下のような2ヶ月での実施があります。

1ヶ月目

初回打ち合わせ: お客様の状況・ご依頼の目的や希望などを伺い、1ヶ月目で実施する内容を決定
(初めてのご依頼の場合、お客様先に訪問して実施)

初回打ち合わせ後: 弊社持ち帰りで、1ヶ月分の作業時間を利用して作業を実施

2回目打ち合わせ: 実施した作業内容の報告と、お客様側での確認依頼事項などの伝達

2回目打ち合わせ後: お客様側での確認や作業など (この間は弊社の作業はなし)

2ヶ月目

1回目打ち合わせ: お客様側での確認や作業などの結果をご報告いただき、2ヶ月目で実施する内容を決定

1回目打ち合わせ後: 弊社持ち帰りで、1ヶ月分の作業時間の80%程度を利用して作業を実施

2回目打ち合わせ: 実施した作業内容の報告と、お客様側での確認依頼事項などの伝達

2回目打ち合わせ後(1): お客様側での確認や作業など・残時間の作業に関する調整事項のピックアップ (この間は弊社の作業はなし)

2回目打ち合わせ後(2): 残りの作業時間で追加作業の実施・作業報告書等の作成