Enterprise Architectにおけるベースラインは、モデルの指定した範囲について、実行した時点のスナップショットを保持する機能です。保持した内容は、後日にモデルを比較する際や、過去のモデルに戻す際に使用できます。
ベースラインが作成されると、実行時点における対象パッケージの内容のスナップショットが保存されます。これにより、ユーザーはその後に編集した状態を、ベースラインを取得した時点の内容と比較し、必要に応じて以前の(ベースライン化された)内容に戻せます。ベースラインはパッケージの単位で作成し、再帰的に子パッケージの内容も含まれます。ユーザーは必要なパッケージをすべてベースライン化できますし、1つのパッケージに対して複数回のベースラインを作成できます。重要なマイルストーンなどで都度作成するのもよいでしょう。
既定の設定では、ベースラインはプロジェクト内に保存されます。セキュリティ機能が有効な場合には、必要なセキュリティ権限を持つユーザーのみが利用できます。あるいは、より広範に利用するために、Proクラウドサーバのパッケージリポジトリに保存することも可能です。
利用できるエディションについて
- ベースラインの機能は、Enterprise Architectのコーポレート版以上のエディションで利用できます。
- 比較機能は、Enterprise Architectのすべてのエディションで利用できます。
- なお、比較機能とも関係のある監査機能は、Enterprise Architectのコーポレート版以上のエディションで利用できます。
考慮すべき内容
ベースライン機能は、対象のパッケージのGUID(一意に識別するための内部のID)で、同じパッケージかどうかの判断をしています。
- Enterprise Architectは、XMIファイルとしてモデルの内容を出力する際など、このGUIDを利用してさまざまな判断を行っています。
- パッケージをXMIとして出力する場合には、そのパッケージが最上位のパッケージとして出力されます。同様に、ベースラインを作成する場合には、作成対象のパッケージが最上位のパッケージとして出力されます。
- 同様に、パッケージがバージョン管理されている場合には、そのパッケージをXML出力したファイルが管理対象になりますが、そのXMIファイルの最上位のパッケージは、バージョン管理されているパッケージになります。
- バージョン管理されている既存のXMIファイルを読み込んでベースラインの情報を作成する場合には、対象のパッケージの子パッケージにバージョン管理されているパッケージが含まれない場合に限ります。入れ子でバージョン管理されている場合には、子パッケージの情報はXMIファイルには含まれず、ベースラインの情報として利用するには不適切です。
- パッケージがバージョン管理されている場合にベースラインの機能も利用する場合、バージョン管理されているパッケージがチェックアウトされていない状態の時には、ベースラインのマージの機能は利用できません。
既存のXMIファイルを読み込んでベースラインの情報にする場合には、XMIファイルの形式が UML 1.3 XMI 1.1 (Enterprise Architectの拡張情報を含む)でなければなりません。
その他の注意事項
- バージョン管理下にあるパッケージがベースラインの作成対象となっている場合、そのパッケージがコミットされた状態では、ベースラインの内容のマージはできません。
- セキュリティ(アクセス権)機能が有効になっている場合、ベースラインを作成・読み込み・削除するためのにはベースラインの管理権限とベースラインの復元の権限が必要です。既存のベースラインを選択してモデルとの比較を実行する場合、セキュリティ権限は必要ありません。
- プロジェクトファイルの利用時には、ベースラインの削除後に、ファイルの圧縮を実行しなければファイルのサイズは小さくなりません。
参照: