Proクラウドサーバが提供する仕組みを利用すると、Enterprise Architectのプロジェクトが遠隔地にあるような場合でも、簡単に接続し利用できます。また、他の方式と比較して、通信速度面でもメリットがあることが多いです。通信内容はHTTPS(SSL)で暗号化できます。
Proクラウドサーバ内のプロジェクトの利用はURLの指定のみとなり、遠隔地の利用者だけでなくローカル環境の利用者にとっても簡単にプロジェクトを参照できます。外部の顧客や利害関係者がモデルの内容を参照したい場合にも便利です。Proクラウドサーバ上のプロジェクトに対してコメントなどのコラボレーションを行うことで、Enterprise Architectで作成する内容が共通理解のための基盤になります。
ここでは、以下の内容について説明します。
- Proクラウドサーバの概要
- Proクラウドサーバを利用する状況・条件
- Proクラウドサーバのセットアップ
- 初回利用時の設定
- Proクラウドサーバで利用できる機能
- IISを利用した、ActiveDirectoryとの連携
クラウド環境のメリット
Enterprise Architectのプロジェクトは、MySQL・SQL Server・OracleのようなDBMSに格納できます。このような場合には、個々のDBMSに接続するためのドライバなどのインストールと設定などを、個々の利用者の実施が必要です。
Proクラウドサーバを利用することで、これらの設定を個々の利用者が行う必要がなくなります。個々の利用者は、Proクラウドサーバを示すURLなどの接続情報を入力するだけです。ドライバなどのインストールなどの手間はかかりません。
そのほか、Proクラウドサーバを利用するメリットは以下の通りです。
- 遠隔地にあるプロジェクトを参照する場合に、ODBCなどでの接続よりも高速になることが多いです。通信内容を自動的に圧縮することで、通信量を減らしています。
- ドライバなどのインストールや設定は、管理者がProクラウドサーバの実行環境に対して1回のみ行うだけで、利用できます。個々の利用者の設定が不要になります。
- DBMSサーバを、外部から参照可能にする必要がなくなります。ファイアウォールの内側に構築し、外部とはHTTPあるいはHTTPSでのみやりとりをする形になります。
- HTTPSを利用することで、外部との通信を暗号化できます。安全ではないネットワークでの盗聴を防ぐことができます。
- HTTPでの利用時に、IDとパスワードでの認証をかけることができます。外部から参照可能な場合でも、利用者を制限できます。
- モデルに対して、読み取り専用(ReadOnly)とできます。Proクラウドサーバ経由での外部からの利用者は参照のみという制限が可能です。
Proクラウドサーバの機能
Proクラウドサーバは、ある程度の機能は無料で利用できます。上記のメリットは、無料の場合でも有効です。有料のライセンスを購入することで、さらに利用できる機能が増えます。この機能には以下の機能が含まれます。
- WebEA - Enterprise Architectのモデルの内容をWebブラウザから参照できます。レスポンシブデザインを採用していますので、スマートフォンやタブレットからも内容を見ることができます。
- OSLC Restful API - 外部のアプリケーションとの連携に利用できます。
- 外部ツールとの連携 - さまざまな外部ツールのデータとEnterprise Architectのモデルとを結びつけることができます。
- Prolaborate - モデルの状況の把握とコラボレーションに特化したWeb環境です。
- 可視レベル - 利用者ごとに、参照可能なモデルを制限できます。
有料のライセンスには以下の3つの種類があります。:
- トークン形式のライセンスを、必要な個数分のみ購入して有料版の機能を利用できます。トークンの最低購入個数などの制限はありません。
- チームサーバ版: 7個までのプロジェクトを作成できます。利用者数の制限はありません。
- エンタープライズサーバ版: プロジェクトの作成個数と利用者数の制限がありません。
参照: