Enterprise Architectの利用事例:2

東証一部に上場し、日本を代表するシステムソリューションベンダーであるC社では、ソフトウェア開発からデバイス開発・情報処理サービスなど広く手がけています。既存の社内の標準プロセスではどのような設計方法を採用するか、という点については自由度が高く、今回お話を伺いましたDさんの所属する部署では、今回UMLを利用した設計開発に初めて取り組みました。
(最初の開発フェーズは既に終了。現在は追加開発フェーズを実施中。)

今回は、Javaを利用したWebアプリケーションシステム開発のリーダーであるDさんにお話を伺いました。

Enterprise Architect選択の決め手と問題点

Q:
UMLを利用すると決めた経緯を教えてください。
A:
今までの開発ではUMLは特に利用していませんでいたが、WordやExcelで作成されるドキュメントが多くなり、どこに必要な情報があるかわかりにくくなっていました。UMLではさまざまな情報を一元化して管理できることもあり、また、将来的にオフショア開発も考えられるので、UMLをあるプロジェクトに導入してその効果を測定してみました。

Q:
数多くUMLツールがある中で、Enterprise Architect選択の決め手になったのは何でしょうか?
A:
UMLモデリングツールは無償のものも含め、いくつか評価をいたしました。その結果、チーム開発が可能であり、機能と値段のバランスが一番とれていたEnterprise Architectを選択しました。機能だけではなく、掲示板やWebサイトで多くの情報が公開されていることもポイントになりました。あと、Enterprise Architectには「エンジニア的な香り」がしていたのも、好印象でした。

Enterprise Architectの使い方

Q:
Enterprise Architectはどのように使いましたか?
A:
今回のプロジェクトではStrutsに対応した画面エディタである程度のソースコードを作成後、Enterprise Architectに読み込ませてクラス図を作成しました。その後は、EclipseとEnterprise Architectで開発を進めました。既に始まっている次のプロジェクトは、より上流の工程である要求管理やユースケース図・工数見積もりなどEnterprise Architectの他の機能も利用しています。

Q:
使い方で工夫していた点はありますか?
A:
コーポレート版のアクセス管理の機能を利用して、担当者ごとに範囲を割り当てて開発を行いました。また、ダイアグラム内の要素に色をつけたりコメントを追加したりして、実装漏れを防ぎ、わかりやすく効率的な作業を行うことができました。印刷してしまうと色がわからなくなってしまうので、パソコンの画面でレビューを行うようになりました。
Enterprise Architectの使い方については、内部でWikiを利用して情報共有・管理していました。

Enterprise Architectのメリット

Q:
Enterprise Architectを選択してよかった点はありますか?
A:
前述のアクセス権設定などを利用して、効率的に開発を行うことができた点が大きいです。Enterprise Architect自体に時々バグがあったりしましたが、サポートの対応が非常に早かったので、問題になりませんでした。
これはEnterprise Architectだけの話ではありませんが、今回のプロジェクトは利益率も改善し、今後他のプロジェクトにもUMLとEnterprise Architectの導入を働きかけていく予定です。

Q:
最後に何かコメントをお願いします。
A:
これからも低価格高機能路線を突っ走ってもらいたいと思います。

インタビューを終えて

このC社での使い方は、比較的平均的なEnterprise Architectの利用方法ではないかと感じました。Enterprise Architectだけで、例えばStrutsフレームワークなどのような特定のフレームワークやプロセスに対応したソースコードを生成・管理していくのは難しい面もあります。そこで、他の専用ツールとうまく連携させて、効率的に設計開発をするという方法があるかと思います。Enterprise Architectの低価格高機能という面は、こうした場合にもコスト面で他のツールの導入を妨げないというメリットもあるかもしれません。

最後のコメントにありました、「低価格高機能」についても、変更する予定はありませんのでご安心ください。「設計者・開発者のためのUMLモデリングツール」であることを忘れずに、より使いやすい製品を提供し続けていきたいと考えております。

利用方法概要

項目対応
利用している種類と本数コーポレート版 5本
(2006/9現在では8ライセンス・RaQuestも活用)
コーポレート版の選択理由チーム開発が可能であり、機能と値段のバランスが一番とれていたため
利用しているUMLとダイアグラムUML1.4
  • ユースケース図
  • クラス図
  • その他
UML規約への遵守
データの保存形式EAPファイル
EAをカスタマイズしたか?(不明)
アドインは利用したか?(不明)
独自のアドインは作成したか?していない
EAの新しいビルド・バージョンが  
出た場合の対応
常に最新版を利用